◆ 記憶に残り続けるために ◆


今年は縁起の良い巳年です。


巳年は景気が良くなるとも言われているそうですが、

本当に皆様のご家庭の台所もそれぞれが潤う一年であって欲しいと思います。

今年も宜しくお願いいたします。




先日の連休の二日目は、前夜に予約が次々に流れてきて、

急に忙しい一日となりました。

お越しの皆様、お声をおかけすると会話が弾む方が多かったように思います。

それは、とてもうれしい事でした。



あるお客様は、ご高齢のご両親様とご一緒にお越しになりました。

いつも娘さんは、アメリカ在住だそうです。

1ヶ月に一度1週間帰ってきて、毎月どこかへ連れて行くそうです。

素晴らしい事ですね。



はじめてお目にかかるのに、

チェックイン時にそんな事を話していただけるのは、

宿屋ならではの事だと思います。

たいがいホテルなどですと、

名前を書いて、朝食付きかどうかを確認して、部屋へ。

その間、世間話もなにか気遣いの会話も何もないのが普通です。

ちょっと味気ないなと思ってしまうのは私だけなのでしょうか?



お食事のときに、せっかくなのでお祝いして差し上げると、

ご両親それぞれお一人お一人が大変喜ばれました。


食事処をお出になって係が片付けようとすると、

デザートの器の下に、心づけが置いてあったそうです。

さすがにアメリカ在住の娘さんだなと感心しました。




また、あるご家族様は、10才の双子さんを筆頭に

その後にも二人のお子さまがいらっしゃる子沢山のご家庭でした。

事前に10年以上前に一度来たことがあると書いてありました。

10年も前ですし、登録が奥様だったりすると履歴が見つからないのですが、

お客様は以前にいらしたときのことを大変よく覚えていらっしゃいました。


実際うかがってみると、7年位前だそうです。


玄関にいけてあるお花が草月流だとか、私の足が悪い事とか、

たまたま前回宿泊した部屋とおなじ部屋だったとか。

いいことばかりではなく、

最初に到着したら、ご予約いただいていないといわれてしまったとか。

ネットで調べなおすと予約が入っていたという経緯があったそうです。

普通なら、気を悪くしてしまうところです。



それが年数を重ねてもはっきりとした記憶を持っていらっしゃる。


お子さんは、売店においてあった木のオモチャを覚えていて、

「またここへ行くんだよ」と教えたそうです。

7年も前のこと、よく覚えていてくださったなと感心しながら、

なぜそれほどまでに覚えていてくださったのだろうと不思議に思いました。


良い宿泊でも、なかなか何年も覚えてはいない。

そのうちに宿名はすっかり記憶の彼方。

それが普通です。


その普通を普通じゃなくするには、

たぶん、本当に些細なことで、しかも当たり前のこと、

でも、なかなかない感心できるエピソードがあったのだと思います。




また、1日たって以前に行ったことがあるというお客様から

ご予約いただきました。

おじい様の80歳のお祝いだそうです。

それはおめでたいと改めて履歴を探すと、

こちらのお客様は、履歴が残っていました。でも、8年も前です。

わたしもぎりぎり8年前まで詳しい一日一日の情報を取ってあって、

もう少しで捨ててしまうところでした。


コンピューターのこのお客様のデータは、

担当係や部屋などは分かりませんでした。


私の取っておいたデータで、

以前は、3世代家族プランでお越しになったとか、

下のお子様のお食い初めでいらしたことなどが分かりました。


覚えていてくださるものなんだ!と改めて感動しました。

でも、8年前のデータまではなかなかとっておけないです。

自分の頭のデータなんて、さらにあてになりません。

やっぱりいつまでも初心でいたいなと痛切に思いました。



今、新しいコンピューターになり、

詳しいデータをなるべく入れて置くように私がしています。

単純に係と部屋、プランだけでは思い出せませんから。



私が今まで個人的に作ってきた顧客台帳もページ数が膨大になりすぎて、

この頃は5年たつと捨ててしまいます。


なるべく、ご滞在中にあったエピソードを現在のコンピューターに

事細かに残しておく。

そうした努力がこれから実っていくと嬉しいと思います。



そして、1日1組のお客様でもいいので、

心温かくなるような何かを残せるおもてなしをしていきたい。


私がこの世からいなくなるときに、

「私の接客人生は、素晴らしいものだった」と思えるようであって欲しい。


人間最後が大事です。


今回も、おわりまでお読みくださった皆様に感謝します。



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◆素顔の女将◆

てんやわんやの年末年始。終わるとすぐ連休と、気ぜわしい日々が続いた。

一息つける休日は、自宅で家内と食べるご飯がなによりの楽しみ!

   「手料理が美味しいからね」とほめると、

   「お酒飲めるから良いんでしょ!」と家内に核心を衝かれ、

モゴモゴと濁す亭主であります(^^;)

                            (by aruji)

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