◆ スカイマーク社のサービスコンセプトについて ◆

最近、格安航空会社の競争は激しくなっています。

先日の新聞にも、スカイマーク社(以下S社)のコンセプトが紹介されてい
ました。皆様はどのように思いましたか?

個人的には、なるほどと思ったところと、
違うのではないかと思った部分とがありました。


S社のサービスコンセプトは以下の通りです。


  1 お客様のお荷物は、お客様の責任にて収納をお願いします。
    客室乗務員は収納の援助を致しません。

  2 お客様に対し、従来航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉遣い
    を当社客室乗務員に義務付けておりません。
客室乗務員の裁量に任せております。安全管理のために時は厳しい
口調で注意することがあります。

3 客室乗務員のメイク、ネイルアート、ヘアスタイルに関しては
「自由」にしております。

4 客室乗務員の制服、会社支給のウインドブレーカー、ポロシャツの
み義務付け、それ以外は「自由」にしております。

5 客室乗務員の私語について、苦情を頂くことがありますが、客室乗
務員は保安要員として搭乗しており、接客は行わないものとして位
置づけております。お客様に直接関わり合いのない苦情につきまし
ては、お受けいたしかねます。

6 幼児の泣き声の苦情は、一切受け付けません。航空機とは、密封さ
れた空間で、様々なお客様が乗っている乗り物である事をご理解の
上で、ご搭乗頂きます様お願い致します。

7 地上係員の説明と異なる内容の事を客室乗務員が指示することがあ
りますが、そのような場合には、客室乗務員の指示に従っていただ
きます。

8 機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけない場合は、
定期運行順守のため、退出いただきます。ご不満のあるお客様は、
「スカイマークお客様相談センター」あるいは「消費者庁消費生活
センター」へ連絡されますようお願いいたします。


というものです。


サービス業に従事しているものとしては、驚きでした。

要するに、安全に定時に安く人を運ぶ輸送業であり、
サービス業じゃないよ、と言っているのだと思います。

私は、以前にも輸送業について書きましたが、
やはりどんな職種でもサービスはある程度必要だと考えています。


   飲物のサービスがない。それは料金に準ずるものと思います。

   座席が狭いのも、安ければ仕方ありません。

   出来るだけ料金を下げるために極力制服を設けないのも、
   荷物の収納を手伝わないのも、
   人件費や運営費を下げるためには仕方がないでしょう。


しかし、ある程度の規則は必要なのではないでしょうか?

言葉遣いも、最低限度のレベルはサービスでなくても、
社会人として当然です。

教育費を多く設けなくても、
本を渡して試験を行うくらいは出来ると思います。

まして私語ともなると、
安全にお客様を運ぶための保安要員だから見逃せというのは
おかしい論理です。

メイクやヘアスタイルについて厳しく制限があるのは、
私も感心はしませんが、常識の範囲であるべきなのではと思います。

お客様に対して、堂々と書き連ねる事ではないと考えます。


   要するに、サービスよりも安くが一番という方が、

   我が社のターゲットと言う事なのでしょうね。


私は、選びません。


そうは言っても通常の価格帯の航空会社のサービスも、
私は個人的にあまり好きではないです。

温かみがないというか、型にはまりすぎている印象を強くうけます。
教育システムにも、航空会社特有のカラーがあるのでしょうね。


S社は、サービスコンセプトというより、サービスはないのですから、
安価な輸送業でサービスはしませんよ、と発表した方が
よさそうな気もします。

利用する方は、それなりに覚悟して乗るでしょうし、
S社の乗務員は気が楽でいいかもしれません。



では、日本旅館はどうなのでしょうか。


一人1泊5、6千円で食事も付く旅館ホテルもありますが、
どんな方々が何を求めて足を運んでいらっしゃるのでしょうか。

また受け入れる側も、どこまでのサービスをしているのでしょうか。



日本の宿のサービスは、総じて海外に比べてレベルが高いといわれています。

あるお客様は、日本の宿のサービスレベルは特筆するに価するとも
おっしゃっていただきました。

私が目指している本当にやりたいサービスは、
高級旅館のような特上のサービスなのです。

でも、紋屋は普通の宿の料金帯。建物も古いです。

建物が古い分、
どうしても基本料金は普通の宿の範囲を超えることはできません。

ソフト面で建物の不便もカバーできていると、
お客様からもおっしゃっていただいていますが、
よくよく下調べをなさらないお客様や、趣味に合わないお客様からは
踏んだり蹴ったりの事もあります。


   ケースバイケースなのでしょうが、

   S社のように「○○はしない」とはっきり言ってしまうのも、

   たまには必要なことなのかもしれません。


私は、個人的にはどんなに格安なプランでいらしても、
そのことだけで特別差別をしたり区切ったりと言うことは嫌いなのです。

サービス業である限り、いただくご料金に対してサービスする。

それが基本である事は確かです。

お客様の中には、
なるべく安くただで何でもしてもらえればラッキー!と言う方が、
多くいらっしゃるのも事実ですね。



少し前に、「生理用品置いていますか?」と聞かれたことがありました。

聞かれたスタッフが売店に見にいくと、たまたま切らしていました。

そこで夕方から来るスタッフに買ってきてもらったのですが、
「売店にご用意致しましたよ」とお伝えしても、
「いいです」とおっしゃったそうです。


   要するに、以前どこかのホテルか宿で、

   無料でくれたところがあったのでしょう。


心配して損したねと、スタッフ同士で嘆きました。

そんなこともちゃっかりしたお客様には、時々有る話です。



紋屋では数年前からお祝いに自然に力が入るようになって来ました。

実際、結婚記念日やお誕生日、長寿の祝などでお越しの方は多いのです。


   出来る範囲で、なるべくコストをかけない形で、

   私達が無理なくして差し上げられることを、

   会議を重ねて考え出し、

   気持ちばかりのお祝いをして差し上げています。


そして、お祝いのプランの場合は、
極力それ以上のことが出来るように心を注いでおります。


お祝いプランに限らず、
宿泊名簿に書いてあった誕生日が近いと分かった時や、
会話の中で分かったという場合、
もともとメッセージに誕生日のお祝い旅行と書いてある時。

もちろんそういう時は、大いにおめでたく嬉しい事なので、
こちらも接待して差し上げたい気持ちが大いに盛り上がります。


お客様のほうから、

   「あした私の誕生日なんですが、何かありますか?

    シャンパンが出るとか。」

と請求してくるのは話が違います。


なんでもプラス料金をいただくというのも、
以前、私達がお祝いプランで人気のレストランに行った時に、
いやな気持ちになったことがありました。

私達がしていることは、ほんの些細なきもちばかりのことです。

それは、手間はかかります。

でも、シャンパンを出すことよりも、
心がこもっていることをお分かりいただけたら嬉しいですね。


人間対人間。お互い気持ちよく過ごしたい。


様々なお客様を察してお迎えすることは、
楽しい事でもあるのです。



以前、ものすごくアレルギーが強くて食べられるものが少ないお客さまが
いらっしゃいました。


   たんぱく質が全くダメと言うことで、

   肉も魚も普通のご飯も豆腐もダメです。

   食べられるのは、野菜のてんぷらとか煮付け、炒め物だそうです。


最初は、暇な時期だったので、出来る範囲でと受けました。

調理長がそのときは、
一生懸命作って全部食べられるようにして差し上げたのです。

お客様は、大変お喜びになり、何度もお越しになられました。

ところが、忙しい季節になり出来ないと申し上げましたら、
それ以来このお客様は、お越しにならなくなりました。

忙しい季節は出来ませんがと、一番初めにお伝えするべきでした。



こうして、サービス業は失敗と成功を繰り返しながら進化していくのです。


今回S社のサービスコンセプトの発表は、論議を呼びそうですね。

いろんな考えの会社があって、選ぶのは自分です。

良い会社選びを皆さんもなさってください。




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 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆


家庭も仕事場も一緒なので、生理的なサイクルが似通ってくる。

トイレに行こうとすると家内とタイミングがあったりすることが多いのだが、
自宅のタンク式トイレだとすぐには水が溜まらないので、
どちらが先に入るか、もめたりする。

そのとき家内は、決まって

   「あなたは男なんだから、外で立ちションしてらっしゃい!」と

私に軽犯罪実行をそそのかす(笑)

                             (by aruji)

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