- ◆ 接客業は深い ◆
私は、幼い頃から、大人になったら接客の仕事に進もうと思っていました。
しかし私の両親は、接客の仕事自体を、
特別な資格や教養がなくても出来る仕事として、
どちらかというと馬鹿にしていました。
仕方なく、最初の仕事は事務職に就きましたが、
やはり性に合わず直ぐに辞めてしまいました。
それからしばらくは懲りてしまい、仕事をする気持ちにもならなかったのです。
ところが、接客の仕事はやめたくならない。続くのです。
自分が本当に好きな職種に就くことは大事な事だと思います。
宿の仕事は、大変さの方が増してしまい、
すごく好きな仕事だとは言いきれません。
でも、おそらくこんなに勉強になる仕事は、
そう多くないだろうとは思います。
滞在時間が長いですし、衣・食・住すべてですし、範囲が広いのです。
今年の夏も、本当に色々な出来事がありました。
私共の宿には、多くのお子様方がおみえになるので、
おねしょシーツの無料貸出しをしています。
ところが今回、ご自宅からおねしょシーツを持参した方から、
「持ってきたおねしょシーツが見当たらない」というお声が出たのです。
多くの種類のおねしょシーツの在庫を抱えていますし、
いろんな所から買ってきているので、もし万が一混じってしまっていたら、
分からないかもしれない。
これは大変だ!と青くなりました。
実際は、お部屋のかたづけに入った従業員が、
(そのお客様は、連泊だったため)気を利かせて、
お昼寝用の布団におねしょシーツをしいて、シーツをかけたので、
見当たらなくなっていただけでした。
なんだ、よかった!と思ったのですが、
今後もこのようなことが発生する可能性はあります。
紋屋の貸出グッズには、すべて紋屋のものだと直ぐにわかるマークを
つけておくべきだと確信しました。
様々な、こまかな貸出しグッズが増えていくので、
その管理もなかなか大変ではあります。
が、常に小さなことにも気を配っていなくてはならないことは確かです。
また、夏の終わりになって、
結構お部屋利用のあるご昼食のお客様のご予約が
バタバタと入ってきました。
昼食だけだけど、お部屋でゆっくりしたいというお客様からの要望で、
お部屋が空いている日にかぎり、12時から15時までルームチャージ3000円で、
お部屋を利用できるプランを作ったのです。
そのプランが出来てから、もう1年は経過していると思うのですが、
今までは、特に問題や疑問は発生しませんでした。
ところが、ご昼食にお越しになるお客様は、
11時の方もあれば13時の方もある。
何時にお部屋に入っても、
12時から15時でルームチャージ3000円はおかしいのでは?という疑問が、
お客様の反応を見ていて湧いてきました。
意外とプランを作るときは感じないのですが、
実際は、いろいろと微妙な問題点は出てきます。
それをいつも見逃さないで、今後に生かしていく。
しかも継続していく。
難しいですが、頑張りたいと思います。
紋屋は、いろいろと細かなおもてなしをしていることもあって、
ご要望も色々なのですが、お食事時間もそのお客様によって、
「うちはこの時間じゃなくちゃダメ」と言う場合も出てきます。
少ない人員でまわしているので、全てのご要望をかなえることは出来ない。
それでも、なるべくできないことも、抜け道を考え出し、
少しはご希望に近いものに出来るよう、日々考えたいと思っています。
今夏は、ご滞在が少なかったのですが、
チェックイン時にたいがい次の日の夕食時間までは、伺いません。
到着してすぐ明日の時間では、せわしいようにも思っていました。
ところが、次の日のお客様に確認のお電話をするので、
そのままにしておくと、ご滞在のお客様より先に、
同じ担当係のお客様のお食事時間が次々と決まってしまう場合があります。
前の日からいらしているお客様の、2日目の夕食時間が希望にかなわない。
それは、おかしいですよね。
特にお子様連れの場合は、チェックイン時に両日共伺ってしまう。
そのほうが、結果的によさそうだと考えました。
こうして書いていると、「そんなこと当たり前でしょ!」と
いいたくなると思いますが、
気づかないお店屋さんも一杯あり、
気づく事自体に関心がないところもたくさんあります。
実際、その場その場で問題が発生して気づくのです。
紋屋のお掃除は、夏の忙しい時期は、100パーセント外注の掃除屋さんです。
紋屋のスタッフでも、いろいろミスはありますが、
やはり掃除屋さんでも、仕事が出来る人とそうでない人とがいます。
基本的な意識の低さは、どうにもならない事態も頻繁に引き起こします。
夏は、特にチェックアウトが終わらないうちから、
次の日のお客様が荷物を預けにいらしたり、
着替えにいらしたりと出入りがあります。
それなのに、チェックインの時間よりはるかに遅い時間に、
ロビーの掃除機かけをしようとするのです。
ロビーは、その時間は満席になるほど、お客様でごった返しているのに。
やめさせると、毎日ロビーは掃除されないことになります。
そういう人たちにいろいろ伝えきり、完全に実行させることは難しい。
夏でも、プランによっては、チェックアウトが遅いプランもあります。
13時がチェックアウトでも、朝に長い時間お散歩に出かけるお客様は少ない。
お出かけになったお客様の姿をみた掃除屋さんが、お帰りになったと思い、
鍵を開けてしまいました。
鍵が開いているので、係も冷蔵庫に入っていた、
お客様が持っていらしていたお茶を片付けてしまった。
その上、お客様が散歩からお帰りになってから食べようと思っていた、
前日のデザートまで片付けてしまったのだそうです。
お荷物があるのに、次の日の支度の準備までしてしまった。
お帰りのときにその事実を伺ったのは私でした。
なんということ!と思いましたが、ともかくお会計も漏れがあったりして、
あたふたしてしまい、心からお詫びをして、お飲み物代を差し引いて、それ
でも、修復は難しいなとこちらもがっかりしながらのお見送りになってしま
いました。
長いお出かけもあるので、必ずフロントに確認をと次の日に言いました。
が、どこまで全員が、その事を覚えていられるのか。。。
他の旅館から、秋のご宿泊プランの案内が我が家に届きました。
その旅館では、お子様料金が紋屋とは違いました。
私が嫁に来た頃は、
小学生は大人の70パーセント、幼児は半額と決まっていました。
寝食不要のお子様も入館料金をいただいていたこともありました。
でも、大人のご料金は、シーズンによって、
ものすごく高くなることもあります。
一律70パーセントや半額でいいのかと、近年考えるようになりました。
今のところ、小学生は一律70パーセントですが、
低学年と高学年では、体の大きさも食べる量も違うのではと、
以前からお客様からもお申し越しがありました。
でも、宿泊業の常識では、
「映画館でも小学生は一律でしょ」ということになりがちです。
私が嫁にきたころから、疑問を持っていましたが、
今のように細かなおもてなしをしていなかったその頃の紋屋では、
私の疑問は一笑にふされました。
時代は変っていくのだから、
宿泊業もどんどん考え方を変えていかなければならないのです。
それは、大変でもありますが、楽しくもあります。
上げ始めたらきりがないほど、こまごまとしたことで、
いろんな問題点が浮上する。
それにどこまで付き合っていくか、徹底が出来るのかで、
今後が変わっていくかもしれません。
紋屋は、きづきを忘れない宿であり続けたいと思います。
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◆素顔の女将◆
夏の間は、忙しくて習字の練習をすることが全然出来なかった家内。
それでも夏前に出した作品は、書道誌に掲載された。
地力が付いてきたか?
初めて書いた字でも、なかなか「達者」と思えるような線が見える。
なんて、書道は素人なのに偉そうな批評をする私(^^;)
(by aruji)