◆ ほのかな喜び ◆

先日、あるクレームが発生しました。

ネットエージェントを通してのお客様でした。



一度予約してからキャンセルをして、

また短い間に再度ご予約いただいたお客様で、こちらの確認不足のため、

予約がされていない状態に紋屋の社内ではなっていました。


お客様からお越しの前にお電話が入った事で、

はじめてご予約だったことが判明したのです。


ネットエージェントからは予約完了の知らせが入っているのに、

なぜ肝心な宿は、予約を知らないのか。


そのお客様は、愕然となさったのでしょう。

もし、そのまま宿に行っていたらどうなっただろうと。


お越しは、記念日でのご宿泊だったそうです。

期待が大きかっただけに、残念な気持ちが後にも残ってしまったでしょう。




大概の旅館ホテルは、

様々なネットエージェントからの予約が実存する部屋数を超えないように、

客室管理システムを入れています。

紋屋でも、今年の夏前にやっと入れたばかりです。



今回、そのシステムに落とし穴があることを、思い知りました。



20分以内にお客様が予約とキャンセルを入れると、

最初の予約は流れてこないのです。


そのあとに再予約の通知が流れたため、

フロントは、単純な予約のキャンセルと思い処理してしまったのです。



誰が電話を取っても、恐らく予約が入っていない状態でのお電話は、

ふがいないものにきっとなったでしょう。


電話をとった者は、最初はビックリしたけれど、その後はお詫びもして、

お部屋がご用意出来ることも、ちゃんと話したと言っていました。



私はその場にいなかったので、その電話の様子は憶測するしかありません。

しかしお客様が、お電話の向こうで、気を悪くなさった様子が伝わったと、

電話を取ったものも、はっきりと認知していました。



予約が入っていない状態で、突然のお電話の場合、

満足な対応はなかなか出来ませんが、

きっと、その時の対応・声の調子・言葉のはしばしに

お客様の印象を悪くする何かが、きっとあったのだろうと思います。



私がお電話をとったとしても、同じだったかもしれません。



「一言お詫びの言葉が欲しい」とお客様がおっしゃっていると、

後日ネットエージェンのサービス担当者から電話が来たのでした。



その方からは、すぐにでも電話をして欲しいということでしたが、

私は、発生したごたごたについて、ほとんど知らない状態でした。


係わった者、今回の事件の背景、機械のシステム。

一つ一つに当たってみて、それからでないと連絡は出来ないと思いました。

また、電話ではお客様が激昂する場合も想定されます。


出来ることなら、落ち着いて判断し、お客様の立場を踏まえ、

お気持ちを思い図り、誠心誠意の言葉を連ねる事ができるよう、

時間を掛けてお手紙をしたためるほうが望ましいと思いました。



予約の旅館に泊まれなかったのなら、怒られても仕方がない。

でも、今回は泊まれたのだし、と最初は思いました。

客室係にきいても、「私が鈍感なのかしら?

ゲームを借りて、楽しそうになさっていましたけど」と言う返答でした。



人間と言うものは、「気持ち」の部分が大きい。

正直、全てのお客様のお気持ちにはなりきれません。


でも、楽しそうになさっていたのが本当だったとしたら、

「お詫びがほしい」というそのお客様の言葉は、

単純に怒っていらっしゃるというものではないかもしれない、

と感じました。



今回は、お詫び状が届くのに時間がかかり、

それは申し訳ないことでしたが、係わったすべての担当者にリサーチし、

お詫び状も下書きして社長にもみてもらい、清書しました。



     お手紙をお送りして数日後、

     お客様からなんと!お電話をいただけたのでした。



お詫び状を書いてお電話をいただけたことは、今回はじめての経験でした。

到着後が良かっただけに、最初のことがどうしても腑に落ちない。

今後このようなことが起きないようにするためにも、

連絡が欲しかったようです。


到着後がよくても、最初が転んでいると、

普通その後も何でも悪く感じられるもの。

それがそうでなかったから、

やはりそのままにしない方が良いと真剣に考えてくださったのですね。


     とても気持ちのおやさしいお客様だったのでしょう。

     考えに考えて、お便りしたその甲斐がありました。



電話でのクレームは、

ほとんどが怒りを一方的に投げつけられ非難され、

受ける側も大きな打撃を受けます。

実際にお目にかかっているときも同様です。



     でも、そうじゃないクレームもある! はじめての経験でした。



はじめての経験と言いながら、

なんとなく今回は、お電話がかかってくるような気がしていたのでした。

お便りして良かったと心から思え、感動できたのです。




接客の現場では、様々な小さな事件が発生します。


今夏にも、チェックインをしている時、

お客様から怒られたことがありました。


お名前やご住所をお書きいただいている間に、

ご予約内容を復唱し確認します。

特に次々とお客様がご到着になられると、書いている間でないと、

どんどんお客様がロビーに溜まってしまうのです。

でもあるお客さまが、

「今書いているんだから、ちょっと待ってなさい。そんな事じゃだめだよ」

と、たしなめられました。


それ以降は、前日の確認電話で了承が取れている場合は、

もう一度予約内容をすべて復唱しなくてもいいと思えました。

ケースバイケースで確認作業をすればいいと。



お越しになってから、

お子様連れだと判ったというケースも今年の夏ありました。

正直、それはとても困るのです。

部屋食に出来る係りがいない場合もあります。

お子様連れの多い食事処が満席である場合もあります。


その方も別のネットエージェントでした。

ネット担当がその業者の予約サイトを調べたら、

きちんとお子様連れの場合は、

無料幼児でも宿泊施設に連絡するようにと書いてありました。


それを、今後のこともあるのでとお知らせしたところ、

私共が運営するサイトではないのに、書いてある場所がわからないとか、

もっと分かりやすくしてほしい。

そんな事を言われたのが残念とアンケートに書いていかれました。


予約自体をなさった奥様にとっては、

自分がとがめられているような気持ちがしてしまったのだと思うのです。

ご主人様は、よく理解してくださっていました。



     正しい事も、場合によってはお教えしないほうが、

     お客さまにとっては気持ちが良い場合もある、

     ということを学びました。



宿泊代以外に300円多く取られていると、

入湯税のことを間違いじゃないかと連絡してくる場合もあれば、

入湯税をいただかせていただきますと伝えたら、

「この前も言われたよ」と機嫌を損ねるお客さまもある。



     まことに接客の仕事は難しい。



それでも、クレームが発生すると、

そのあとにかかる時間とストレスはものすごく大きいもの。



     今回の出来事は、今迄には無いほのかな喜びでした。



誠心誠意という姿勢を忘れずに、お客様に感謝したいと思います。





-----------------------------------------------------------------

◆素顔の女将◆


1999年10月10日が、このメルマガの創刊日。

と言うわけで、満13年を経過し本号で14年目に入りました。

パチパチパチ! おめでとう!

明日は、再婚15周年の結婚記念日♪~

どちらも、皆さまからのお祝い、受け付けてます(爆)

                            (by aruji)

ご予約・プラン紹介はこちら